鎖デザインの焼印

東京DUGAS様より鎖をモチーフにしたデザインの焼印製作を依頼されました。データがbmpの画像ファイルでしたので、鎖の一つ一つをトレースしてデータを製作することになり、その分製作データの作成に時間がかかってしまいました。鎖に関しては、メタルアートでもシルバー製品の受注製作をしておりますので、既成の925銀製のチェーンやその付属品は取り揃えています。鎖自体をオリジナルで作りたいという要望もあり、925銀製のウオレットチェーンを製作したことがあります。ジーパンのベルト用フック部分に取り付けて、腰から垂らす形のチェーンで、中世ヨーロッパの貴族の家紋のようなデザインを組み込んで作りました。普通、鎖(チェーン)を作る場合には、チェーン編み機という機械で棒材をまげてくみ上げて溶接という動作を自動で行いますが、そんな機械はありませんので、1個1個手作りになります。この時製作したウオレットチェーンの場合、鎖も一つおきにデザインが異なっていましたので鎖1個用の原型を2個作り1個の鎖の輪を別々に鋳造してから、一つずつ組んで銀ロウでロウ付けする作業になりました。輪を1つずつ組むのも大変でしたが、ねじれたデザインの鎖を一つずつ手作業で研磨して磨く作業がとても大変でした。鎖の末端部分につけるフックについても、1からの製作でしたので、合うバネがなく、バネを使った色々な部材を購入してきて分解し一番合いそうなバネを多少加工してバネも自作しました。シルバー製品は、研磨が命ですので、いくら機械で研磨しても思った通りにはできませんので、最終的に手で研磨、バフ掛けして仕上げますので大変な労力と時間がかかります。銀自体の地金の価格はそれほど高くありませんが、工程にかかる時間と手間の分だけ金額的に高くなる商品です。

左の画像は、DUGAS様から頂戴いたしました焼印用のデザインです。画質が良くないので、そのままつかえませんでした。右の画像は出来上がった焼印をシナベニア板に試し押しした時のものです。鎖の輪の内側部分の余白が狭いので、うまく焼印を押さないと白い部分が変色してわからなくなります。製作しましたDUGAS様の焼印、大きさ的には大きい部類に入り、幅70ミリ×高さ48ミリになりますので、電熱式でということで300Wの大型電気ゴテを使いました。又、チェーン等の細かい部分が押しにくく、微妙な温度調整が必要になるので、300W用に対応した大型の温度コントローラも付けました。