げいこのどらやき焼印

キャラクター焼印をどらやきに押す

和菓子屋さんのお客様からどらやき用の焼印製作を依頼されました。このお客様から注文頂く焼印は6ミリの深い印面のもので、どらやきの場合、皮の部分が柔らかいので印面の彫が通常の3ミリですと、台座の部分が触れて焼けてしまう可能性がある為に6ミリ彫り指定になっています。只、鋳造で焼印を作っているので、彫が深くて線が細くなると湯回り(溶けた金属が型の中にめぐる事)が悪くなり、鋳造欠陥が出てしまうので、細すぎて上手くいかないような箇所は多少太めにして、鋳造後に線を削り太さを合わせる事もあります。

げいこの焼印

げいこの焼印印面
げいこの焼印印面の画像

上の写真は、げいこの焼印の鋳造後の画像です。印面の材質は真鍮ですが、鋳造直後は、酸化被膜は表面に出来ていますので、変色しています。この変色ですが、一度、火で加熱して少し冷やして水をかけると綺麗な真鍮色(金色ぽっく)なります。写真の白い部分は石膏系埋没材(鋳型を作る材料)のあとです。

げいこの焼印試し押し

鋳造後に研磨、ねじ切り等を終えてから試し押しをしました。さすがにどらやきは用意していないので試し押しには、白い厚紙を使っています。元は木で試し押ししていましたが、試し押しした板を切るのが大変でしたので、厚紙に試し押しして、ハサミで切って出来あがった焼印に添えて送るようにしています。

げいこ焼印試し押し
げいこ焼印を厚紙に試し押し

上の写真はげいこ焼印を厚紙に試し押しした時の画像です。「げいこ」とは、ひよっとしたらカエルのことではないでしょうか?聞き忘れましたが、画像からそのように推測されます?

和菓子職人さんから聞いた話

別の和菓子屋さんの焼印を専門に押している職人さんからどらやきと焼印について聞いた事があります。実は、和菓子屋さんの職人は直火式の焼印を好んで使うのですが、本来は半田ごて式(電気ゴテ式)の方がどらやきには向いているそうです。その訳は、電気ゴテ式の焼印の場合、熱源が印面から離れた所にあるので焼印の印面の表面部分より内側の方が多少温度が高くなるので、最初に温度の低い部分がどらやきの皮にふれてるので、焦げ臭さが減少するそうです。逆に直火式焼印の場合、印面の表面が直接火に触れる為に、表面部分の方が温度が高く、その温度の高い部分が最初にどらやきの皮に触れるので焦げが急速にできて、その結果、食べた時に焦げ臭さが残ってしまうそうです。その職人さんは直火式焼印の焦げ臭くなるのを和らげるために、火で炙ったあとに、霧吹きで焼印の印面に少しだけ水を吹き付けて印面表面の温度を少し下げてから焼印を押すといいと言っていました。焼印を押す前にどらやきの皮自体に霧吹きで少量湿らせると、食べた時の焦げ臭さを抑えることが出来ると聞いた事はありましたが、印面自体も冷やす事があるとは知りませんでした。もう一つ部外秘の方法があると言っていましたが残念ながら教えてもらえませんでした。どなたかわかる方がいらしたら教えて頂ければと思います。