文字数の多い焼印

勝目様から2行の漢字で文字数の多い焼印製作を依頼されました。漢字の焼印は、画数の多い漢字になると、1文字の大きさが問題になります。普通に押して綺麗に押せる範囲で焼印に対してのお返事をしていますが、画数の多い文字が多くなると、押す時にもある程度の技量が必要になりますので、焼印を初めて使うお客様には難しい場合が出てきます。そこで綺麗に焼印を押すには練習が必要ですとお答えして確認をしています。逆にアルファベットや英字の焼印の場合、文字数が多くなっても製作しやすくなりますが、書体が多いので製作が難しい書体の場合に問題になります。今回の焼印は、上段に「(社)国土緑化推進機構」と10文字が並び、下段の「「緑の募金」助成事業」と9文字が並ぶもので、幅70ミリ×高さ15ミリの製作サイズでしたので、7ミリ角に収まる漢字を並べることになりますので、書体はゴシック体でお願いしますとこちらから提案させてもらいました。このデザインの中で押しにくい漢字は、緑、推進、機構、募、事業になりますので、この漢字だけは、フォントをアウトライン化させた後に個別で余白を修正して出やすく調整します。そして、鋳造が終わった後に、鏨を使い狭い余白部分を広げながら試し押しをして一番よい所で仕上げます。
印面とは関係がないのですが、文字の中の(社)の部分が気になりましたので、この機会に調べました。普段よく見かけます会社の名前で株式会社や有限会社は大体の意味はわかっていましたが、(社)も同じように組織の特徴を表しているのではと想像はしていました。呼び名は一般社団法人というそうで2008年に施行された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」をもとにして設立された法人の事で、非営利団体だそうですが、この非営利の部分がわかりにくく、普通非営利と聞くと会社組織のような利益を上げる事ができないと思われますが、全く違い利益をだして報酬を払ってもよく、普通の会社のように利益を追求してもかわないそうです。それならばなぜ、非営利団体とつけるかといえば、出た利益を配当として配分することができない点と株式会社のように株券を発行していないので上場はできない事が主な違いのようです。そこで気になるのは税金を払っているのかという部分ですが、営利事業に関しては株式会社と同等に払っているそうですが、収益事業以外は非課税になることもあるそうです。ハッキリ言ってよくわからない部分がありますが、活動におけるメリットが以下のように沢山あるので設立が増えているようです。そのメリットとは、設立の手続きが簡単で、安くでき、株式会社のように定款に書かれた業務しかできない事もなく、業務に制限がないことと、法人名で取引ができ、公益的で聞こえがよく信用を得やすい事等があるようです。

左の写真は、印面鋳造後の画像で、細い溝の部分が浅いので、タガネで深くしつつ試し押しをして仕上げた焼印を押した画像が右の写真になります。