平常心の焼印

四角い枠の中に「平常心」と書かれた焼印を作りました。誰もが平常心を保てない場面に出くわしたことがあると思います。私も、ある劇団の研究生で初めて舞台に立った時の事を今でも鮮明に覚えています。よく、人という字を掌に指で書いて飲み込む仕草をすればいいとか言われていますが、ハッキリといって効果はありません。私がお芝居を教わった演出家の方は、とにかく練習を積み重ねる事が大事で、体に覚えこませる位練習したら後は忘れてしまいなさい。そうして本番の時には思い切り楽しめば良い舞台になります。と言っていましたが、勿論、練習は沢山積んできて、夢の中にも出てくる程でしたが、舞台の袖で1ベルを待っているときには心臓が飛び出るほど緊張してドキドキでした。2ベルがなり、お芝居が始まり、自分の出番になったときには、緊張もほぐれ、平常心に近い状態になりました。もうどうにもならないとの諦めだったのか、偶然的に心が落ちついたのかわかりませんが不思議な状態でした。ところが舞台に出て演技を始めている最中に突然、我に返ったように緊張感が高まりブルブルと震えだした時には驚きました。その後、自分がどんな演技をしたのかわからなく、楽しんで演じるとは程遠い初日でした。ところが二日目は、(2日連続でしたので)あまり緊張もせずに、自分なりに落ち着いて演技をしていましたが、セリフを飛ばすミスをしてしまい、相手のアドリブでどうにか切り抜けた次第です。ところが、打ち上げで皆と話していると2日目の方が出来が良かったと言われたので、なんとなく演出家の方から言われた「楽しばいい舞台になる」の意味がわかったような気がします。中々できない経験をしたと思います。その後、サラリーマン時代に大きな会場で研究説明をすることがありましたが、どうゆう訳か初舞台の時に比べれば余裕でした。

平常心焼印
平常心の焼印

上の写真は、出来あがった平常心の焼印を木に押した時の画像です。この焼印の文字、筆書きのものからトレースして作りましたので、文字が太く、特に「平」の文字の余白が狭すぎて読みにくくなりましたが、作る前にお客様にお伝えしていたのですが、そのまま作って欲しいと言う事で太いまま製作しました。