トンボの焼印

ながいけ様からトンボがデザインされた焼印の製作を依頼されました。私が小学生の頃、通っていた高島小学校のそばに小泉さんという製麺工場があり、そこには大きな池がありました。池の広さは周囲80メートル位あったと思います。そこには、鯉やフナが泳いでいましたが、池と沼の中間位の感じで、ゲンゴロウやタガメなんかをとった記憶があります。その池に夏から秋頃にかけてオニヤンマが沢山飛び交います。友達とオニヤンマを取りによく行きました。オニヤンマを採るには特別な方法があります。当時は子供たちの間で言い伝えられてきた方法で、その時はどうしてこの方法で採れるのかわかりませんでした。そのオニヤンマを採る方法は、オニヤンマがどの位置を飛び回るかよく観測して、飛び交う範囲を覚えておき、必ず青い色の虫取り網を、飛び交う範囲で、八の字に回しながらオニヤンマが飛び込んでくるのを待つ方法でした。不思議なことに、いくら追っかけまわっても採ることができなかったオニヤンマですが、この方法ですとオニヤンマの方から網に飛び込んできます。でもこの時に使う虫取り網が白や他の色の場合には、けっしてオニヤンマは採れませんでした。その当時は理由がわかりませんでしたが、今考えるとなんとなくわかります。あくまで推測ですが、トンボには縄張りがあり、その縄張りに別のトンボが侵入すると追い回して追い出してしまいます。そこで、オニヤンマの縄張りの中で網を振りますと縄張り内に他のトンボが侵入してきたと思い追い出す行動に出ると思います。この時、青以外の色の網ですと、トンボには、ハッキリと見えてしまい、警戒して近づかないのですが、青い網を振ると、水面や空の色に近いので、網を振っている事に気づかず、トンボが飛んでいるように見えるからだと思います。只、私の考えですので、確証はありませんが、間違いないと思います。偶然なのか、誰から教わったのかわかりませんが、子供たちの間で伝わっていたこの方法には正直驚きました。残念ながらその池も今はなく、埋め立てられて、市営の団地になってしました。改めてその当時の事を思い出すと、小さい頃遊んでいた自然に恵まれた環境は殆ど見当たらなくなっており非常に残念に思います。

トンボの焼印
ながいけ様のトンボの焼印

上の写真は、ながいけ様からのご注文で製作しましたトンボの焼印をシナベニア板に試し押しした時の画像です。竹とんぼのような感じのデザインのトンボと平仮名でながいけと書かれた文字がなぜか懐かしく思います。焼印の大きさは、幅35ミリ×高さ40ミリで、電熱式をご希望でしたので100W電気ごてを取り付けて作りました。昆虫の焼印の中でトンボは2番目に多く、人気があります。勿論、一番多いのは蝶のデザインの焼印ですが。