革と木の焼印押し比べ

カジワラ様から小さな文字の焼印製作を依頼されました。kento kajiwaraという文字が2行に配置されたデザインで、幅20ミリ×高さ7.5ミリの大きさに13文字の英字があるものです。仕様は40W電熱式です。名前の小さな焼印製作の場合には、アルファベットを使うと文字数が多くなり小さく作るのが難しくなりますので、漢字で作る場合の方が多いのが実情です。今回も最初は明朝系の細い部分のある文字での製作がご希望でしたが、印面の大きさと文字数からすると、作ることが出来る書体は、ゴシック系の書体になってしまうので、相談の上でゴシック体での製作に決まりました。

左の写真は、出来上がった焼印をシナベニアの板に押した画像です。2行目の最後のaの文字の内側部分が変色して潰れてしまっていますが、同じ2行目の左にあるaの文字が潰れていないので、これは、試し押しをするときに右側の力が入りすぎた為だと思います。2行になっている文字列の下の行の方が長いので、実際に焼印を押す場合には、どうしても下の行の右側に力が集中してしまいますので、押す場合には注意が必要です。本来、上の行の間隔を広げて下の行と同じ幅にすれば押しやすいデザインの焼印になりますが、デザイン的な観点から上の行を短くして作っていますので、押す場合に注意が必要です。右の写真は同じ焼印をこげ茶色の革の押した画像です。シナベニアのときには潰れてしまったaの文字も革の場合には、綺麗に押せています。一番の原因は革の方がベニア板よりも密度が高く、表面が固めで、更に焦げにくい性質があるからです。只、革の場合、なめし方や色つけ等により押しにくい革もありますので注意が必要で、見た目で区別するのが難しいので、使用する前に、端っこに試し押ししてみて判断するのが一番良い方法になります。同じような事が木についてもあり、固めで、密度の高い木程、印面が密着しやすくなりその分押しやすくなりますので、固く、密度の高い白い木肌の場合には、少し焼印の温度を抑えて押した方が綺麗に押せますし、逆に木肌が黒っぽい場合には少し高めにした方が良いと思います。