白黒反転の焼印

ちから様から小さくて白黒が反転した焼印製作を依頼されました。通常、文字部分が黒く(凸で焼ける部分)周りが白い(凹で焼けない部分)ものが多いのですが、逆のデザインもありますが、細かなデザインになると綺麗に押せない場合が出てきます。焼印を作る時の原型は、切削できる蝋材を機械で削り作りますが、細かなデザインでも対応できるように、先端の細い文字カッターという工具で削ります。一番多く使っている文字カッターは軸径が6mmで先端部分が0.15mmで平になっており刃物の角度が10度付いています。この刃物でデザイン通りに削れるように機械が計算してツールパスとよばれる刃物が削る道のりを計算して削ります。物理的に0.15mmより細い隙間は削ることができませんが、削る幅が太くなればなるほど深く刃物を入れることができるようになりますので、例えば0.2mmの幅の溝を彫ることは出来ますが、彫りの深さを3mmにしますと、刃物の傾斜の部分を計算しますと1mmも彫れないことになります。このように刃物と彫る部分の幅により、彫れる深さが決まりますので、彫る幅が広くなれば彫れる深さも深くなり、幅が狭くなれば彫れる深さも浅くなってしまいます。普通の印鑑であればほんの少しの彫りでも朱肉がのらないので、綺麗な余白がでますが、焼印の場合には、熱で焼いて黒く変色させるので、彫りが浅くなると周りの熱の影響を受けて変色してしまう事があります。熱による変色でデザインを表す焼印の避けて通ることができない問題になります。見積もりを頂いた時点で、綺麗に押すことが出来ないと思われるデザインの場合、お断りするか、サイズの変更、綺麗に押すことが出来ない可能性があることをお伝えして製作するかどうかをお聞きして作るようにしています。

ちから様の焼印
小さな白黒反転焼印

上の写真はちから様からのご依頼で製作しました小さな白黒反転の焼印の試し押し画像です。大きさは18mm×13mmと小さなものですが、温度コントローラを使うことから、少し大きめの100Wの電気ゴテを使いました。