細い白抜き文字焼印

植田様からのご依頼で細い白抜き文字で「くぬぎ まき・」というデザインの焼印を製作しました。焼印の特徴として、印面を加熱する事で、対象物に焼目をつけて表現しますが、厄介なことに印面の凸部分のみに焼目が付くのではなく、温めた印面全体から熱が出ているので(放射熱といい、実際に出ている熱線だけではなく赤外線も出ていて周りを焦がす原因になります。)、焼目がついてほしくない部分も焦げてしまう事があります。それを防ぐために、ガス抜き穴を開けて熱い空気を逃がしたり、空気の層を厚く保てるように印面の彫を深くしますが、絶対的な効果はありませんので、この部分のせめぎあいが製作者の腕になります。又、焼印を押そうとしている材料による所もありますので、木の場合、堅い木は、焼印を押した時に印面の沈み込みが少なく木質の密度が高いので、焦げにくく木の中では押しやすい部類になりますが、木肌が白くて木質が柔らかい木は、押した時に、印面が深く沈み込み、断熱の役割をする空気層が狭くなり、焦げやすく押しにくい木質になります。柔らくて、水分がしみこみやすい木質の木の場合には、焼印を綺麗に押す裏技として、木の表面を濡れた雑巾で軽くこすり水分を補給してから、焼印を押すことで綺麗に押す方法もありますが、どの木にも使える方法ではないので、木質を見極めて使う必要があります。押す人の経験と技量で綺麗に押せるか決まる部分がありますので、焼印は、結構厄介なものです。

植田様焼印
植田様の白抜き文字焼印

写真は、出来上がった植田様の焼印を杉の板に試し押しした時の画像です。写真を見てもらうとわかると思いますが、年輪部分は、堅く密度が高いので、濃いめに焦げ跡がついています。白抜き文字部分は細いので多少変色してはいますが、文字の確認はできると思います。実際に、押した面を拡大してみると、年輪の部分は硬いので、印面の沈み込みが少なくなり、年輪と年輪の間の比較的柔らかい部分が年輪より深く沈み込むことにより、白抜き文字部分を押し上げて凸状になっています。端的に言えば、「くぬぎ まき・」の白抜き部分が、多少、出っぱっている状態です。この焼印の大きさは幅15ミリ×高さ14ミリで、40W電気ごて仕様で作りました。