漢字の中抜き焼印

南部という文字の輪郭だけの焼印を製作しました。南部と聞くと第一に南部鉄器を思いだします。うちにも南部鉄器の小さなやかんがあります。名前の通り鉄製の黒いやかんで使っていないと錆びがでてしまうので、時々、使っていますが、このやかんで沸かしたお湯で紅茶を飲みますとまろやかな味わいになるように思います。現在人は、鉄分が足りないとゆうことで、鉄瓶でお湯を沸かして飲むようにしていますが、お湯が沸騰してきた時の何とも言えない音を聞いていると心が落ち着きます。青森の友人の家に遊びに行ったときに、南部鉄器を作っている工房を見学したことがあります。南部鉄器は、砂型鋳造と呼ばれる方法で作られていて、木型という木製の型を使い、粘土と砂を混ぜた型に形を作り、鉄瓶の空洞でお湯が入る部分を作る為に中子と呼ばれる補助型を組み合わせて解けた鉄を流して作ります。又、型から取り出した鉄瓶を炭火で加熱して鉄の酸化被膜をつける方法は、南部鉄器がルーツとされ今でもさび止めとして使われています。
私も鉄の加工で、酸化被膜をつける場合がありますが、専用の黒染め液を脱脂した鉄材に塗り被膜をつけますが、やはり、熱処理してつけた酸化被膜の方が長持ちして綺麗です。大きな物に熱処理して酸化被膜をつけるのには大きな設備が必要になりますが、小物の場合、バーナーで炙ってから、オイルに漬けて手軽に黒染めできますので、出来る限りこの方法で表面処理するようにしています。
南部鉄器の場合、加熱して漆を塗る方法も使いますが、この方法で表面処理すると綺麗な奥深い黒になりますので、味わいが深くなります。

南部の焼印
白抜きの漢字焼印

上の写真は出来上がった焼印をシナベニア板に試し押しした時の画像です。大きさは高さ45ミリ×幅26ミリで、150W電気ごて仕様で作りました。この焼印を段ボールに試し押しした画像はサンプルページに載せていますので、そちらもご覧いただければ幸いです。