熊野川の焼印

熊野川の参詣手形に関する焼印を製作しました。木の板で出来た手形に関しては、通行手形、温泉手形、宿泊手形等色々な焼印を作ってきました。基本的に、表面と裏面用の2種類の焼印を作ります。今回も2種類1セットで製作しました。熊野川の下流の熊野本宮大社と熊野速玉大社の間の川辺は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産にも登録されており、世界中から多くの参詣客が訪れる場所です。熊野川は、1970年に新宮川として一級河川の指定を受けましたが、地元の住民からの要望が強く、1998年4月に熊野川と名称を変更した経緯があります。「紀伊山地の霊場と参詣道」は、奈良県、和歌山県、三重県の3県の吉野.大峰、熊野三山、高野山の3つの霊場と熊野参詣道、大峯奥駈道、高野山町石道の参詣道からなり、日本で12番目の世界遺産です。世界遺産への登録にあたり三重県尾鷲市で地権者たちの反対運動もあり、その原因は地権者たちに市や市の教育委員会から事前に世界遺産に登録されるという話がないまま進められた事への不信感からおきた反対運動で、平成21年に和解ができました。世界遺産に登録されると色々な制限も出てきますので、反対を唱える人たちが出てくるのも当然だと思いますが、行政側が熱意をもって詳細な事前説明をすれば大体は解決できるので、今回の件は、行政側の不備が反対運動に発展したと思います。又、2011年に地元の森林組合が許可なく木々を伐採してしまう事件がありましたが、どの範囲で許可が必要なのかというガイドラインが確立されていなかった事による事案だったので、世界遺産を守る為に多くの努力が必要になると戒める事件でもありました。

上の写真左は、木製の参詣手形の表面に押す焼印で、大きさは高さ60mm×幅13mmです。右側は、参詣手形の裏面に押す通行の内容と許可する機関の名前が入った焼印で、大きさは、高さ60mm×幅44mmで、2つの焼印とも300W電気ゴテで使用する為に19mmの軸棒が取り付けられており、軸棒を差し替える事により1本の電気ゴテで使用出来るように作っています。どちらも勘亭流の書体で文字が太く、画数の多い文字の場合に潰れてしまう可能性があるために、画数の多い文字だけ余白を広げて調整しています。又、裏面の大きな印面に合わせて300Wの大型電気ゴテを使っているので、表面の小さい焼印には、熱容量が大きすぎるので大型の400Wまで対応できる温度コントローラを使用しています。