一文字漢字の焼印

空デザイン様から「瓢」という文字、一文字の焼印製作を依頼されました。瓢は、瓢箪を表す文字で、瓢箪といえば、むかし水筒がわりに水や酒を入れて携帯した容器で、中国のカンフー映画の酔拳でも、お酒の入った瓢箪を片手に持ち、演武しながら、酒を飲むシーンを思い浮かべてしまいます。前から瓢箪にどのようにして水を入れれるように穴を開けるのか不思議に思っていました。最初に考えたのは、瓢箪の口の部分から細長いスパチュラー(先端が小さなスプーンのようになった長い柄のついた薬匙)のような器具で中身を掻き出して、空洞を作ると思っていましたが、実際は全然違いました。収穫した瓢箪の入口になる部分に5mm程の太さのドリルビットをつけたピンバイス(手動で穴を開ける小さなドリルです。)で穴を開けます。この時、瓢箪の中の種が出る位の深さまで穴を開ける必要があるそうです。穴が開きましたら、穴をある程度大きくするのにテーパーリーマ(断面が歯車のような形をしていて、刃が何本もついた円錐型の工具)で穴を広げます。その後、水をはった桶に、瓢箪を浮かび上がらないように蓋をのせて沈めて、10日から20日程かけて内側を腐らせて空洞にし、よく水洗いをしてから、瓢箪の口の部分が下になるようにして、影干しにすると瓢箪の容器が出来るそうです。腐りやすい内側を腐らして空洞を作るとは、昔の人の知恵はすごいと思いました。乾かした瓢箪は表面が硬く、軽いので水や酒を入れる容器に向いていたのでしょうね。瓢箪に七味と焼印が押された物を見たことがあります。又、レーザー彫刻機で、瓢箪の表面に模様をいれたお土産物も売っていました。

空デザイン様焼印
空デザイン様の瓢の焼印

写真は、空デザイン様の依頼で製作しました瓢の字の焼印の試し押し画像です。一文字ですが、70mm×64mmの大きさで直火式にて作りました。焼印の印面が大きくなりますと、温めるのに時間がかかるだけでなく、押せる状態まで温まるとかなりの熱容量になりますので、薄いベニア板等に押すと、押した後、熱で薄い板が歪んでしまいますので、それを少しでも防ぐ為に、板に熱が伝わりにくくする必要があるので、印面の彫りを深くします。特に直火式の場合には、バーナー等で直接加熱する為に、高温で使用する事が多いので、この位の大きさの場合には、最低でも5mm以上の深さで仕上げないとなりません。瓢の焼印も5mmの深彫りで製作しました。