安価焼印用リング製作

量販用の製作で安い焼印をご提供できるように、鋳造時に使う鋳造用リングも自作する事にしました。元来は、只の丸いステンレス製の筒を使っていましたが、これでは、鋳型1個に対して焼印用印面1個ずつしか鋳造出来ませんでしたので小さな焼印でも製造原価を抑える事が難しかったので、ツリー鋳造用の穴あきリングを作ります。

焼印鋳造に使えるリング

実は市販でもツリー用に使える鋳造用の穴あきリングが販売されています。只、サイズ的に小さな焼印の印面を多数ツリーとしてつけることに向いているサイズのリングがなかった事と、販売されている穴あきリングの価格が高ったので一から作る方が良いと判断しました。

市販の穴あきリング

下の写真は市販の穴あきリングの画像です。これと同じような構造のリングを作ります。

市販のリング
市販の穴あきリング

上の写真のようにステンレス製のパイプに穴を開けてその上部にステンレス製のツバを溶接した構造になっています。鋳造機の方には、このステンレス管よりも少し太い丸い穴があいたアダプターがあり、その穴の中に焼成した鋳造リングをいれて、ツバの所で塞ぐような構造になり塞がった下の方のリングの穴全体から真空ポンプで空気を吸い込みつつ、ツバの上部から溶けた金属を流し込むことにより隅々まで綺麗な鋳造物を作る事が出来る仕組みになります。
市販のリングは径が90ミリでしたが、製作する焼印の印面が小さい事と、径が大きくなれば、一度に電気炉に入れることが出来る本数が少なくなるので、必要最低限の径の鋳造リングを多数電気炉に入れることが出来るほど製造原価を抑える事ができるので、量販用の15ミリ位の大きさの焼印の場合には50ミリ位の径のリングがちょうどよく、鋳造機の大きさから算出した理想のリングサイズは、50×135ミリになり、このサイズのリング1本で、ツリーを立てて15ミリ程度の焼印の印面を鋳造すると3本×6列で一度に18本の焼印の印面を鋳造する事ができる計算になります。

焼印用リング作り

材料となるステンレスのリングを用意しますが、前に鋳造リングとして使う為にヤフオクで車のマフラー用のステンレス管の端材をまとめて買ったものがありますのでそれを使います。端材なので色々な太さと長さのステンレス管が混ざっていますが、径50.8ミリ×長さ133ミリの管(厚さ1.5ミリ)がありましたのでそれを使う事にしました。

ステンレス管
製作用のステンレス管

ステンレス管には、グリスがついていましたので、シンナーで綺麗にふき取ってから、端材なので管の切り口が鋭利な状態になっていたので、棒ヤスリで端を丸めて作業しやすくします。

ツバの部分
リングのツバ部分

上の写真は、同じくヤフオクで購入したステンレス板です。厚さ3ミリ、幅75×300ミリありましたので、75×75ミリに四角く切断してから、ケガキして51ミリの穴を開けてるのですが、専用工具がありませんでしたので、ドリルで円周に沿って沢山の穴を開けてからくり貫き、ヤスリをかけて丸く削りました。手作業で丸くしたので楕円形でステンレス管よりやや大きめの径になりましたが、溶接時に必要な隙間と考えると丁度よい具合でした。

リングに穴開け
穴あけ作業の画像

写真はスレンレス管に吸引用の穴をあけている所です。ステンレス管の周囲に、6.5ミリのドリルで合計32個の穴を開けました。穴を開けた後に管の内側にバリができるので丁寧にヤスリで削り取ります。ステンレス管は結構、穴を開けにくいので、切削油をたらしながら開けます。

溶接前の画像
鋳造リング溶接前の画像

写真は、穴を開けたステンレス管とステンレス製のツバを合わせた時の画像です。この後に管とツバの合わせ目を隙間なく溶接していくのですがステンレスの溶接経験がほとんどないので、緊張します。溶接は、エンジン溶接機を使いアーク溶接します。管の厚さが1.5ミリ、ツバが3ミリでしたので、ステンレス用の溶接棒は2ミリの物を使う事にしました。軟鉄のアーク溶接はたまにしていましたが念の為に溶接機の説明書を読み直した所、鉄とステンレスの溶接で電極のプラスとマイナスを変える必要がある事を初めて知りました。真空ポンプで吸引した時に空気の漏れがないようにキチンと溶接する必要がある個所なので、一度、溶接してから研磨して穴がないか確認して穴がある場合再度溶接しなおす事にしました。

ツバと管の溶接
境目を溶接します。

溶接は、鋳造リングが動かないように、万力に固定して、万力本体にアースクリップを取り付けて行います。円周部分を隙間なく溶接しないとならないので、溶接ビートが途切れないように体を動かしながら丁寧に溶接を行います。
溶接が終了後、ピッキングハンマーで溶接時のスラグを叩いて取ってから、ステンレス管とツバの部分に隙間がないか確認したところ、小さな隙間が2か所程ありましたので、その部分だけを溶接して埋めなおして再度、隙間の確認を行ったところ、隙間がなかったので、完成として今回作った焼印鋳造用のリングを使い鋳造作業してみたいと思います。実際に鋳造機に取り付けてどの位吸引できるかを確認しないと成功とはいえないので後は試してみるだけです。上手く鋳造出来ましたら同じリングを6本位作り、別の少し大きめのリングも数本作る予定でいます。