焼印で作る暦

焼印を木の板に押して暦を作りたいとの事でご注文を頂き、暦の焼印を作る事になりました。只、各月は、1~31までの数字と曜日を入れる必要がある事と、製作サイズを各月100ミリで作りたいとの事で、100ミリの大きな焼印になりますと市販の半田ごてでは温めきれなくなりますので、直火式で作る事になり、又、メタルアートの鋳造設備では、100×100ミリでの鋳造が出来ないので各月毎の直火式焼印は、原型だけを作り外注で鋳造してもらう事にして、各月を表す「月の異名」は、自社で鋳造して作る事にしました。

月の異名の焼印

月の異名とは聞きなれない言葉だと思いますが、いわゆる、各月を表す和式の呼び方で、1月は睦月、2月は如月、3月は弥生、4月は卯月、5月は皐月、6月は水無月、7月は文月、8月は葉月、9月は長月、10月は神無月、11月は霜月、12月は師走という呼び方の事です。この呼び方は、万葉集や日本書紀にも出てくる古くから使われた呼び方で、現在の暦と比べると約1月程ずれがあります。

月の異名の焼印画像と解説

1月かた順番に画像とその解説をしていきます。高校生の古文の授業の時依頼なので私もよく覚えていませんので復習を兼ねてみていきます。

左の写真は1月を表す睦月の焼印を木に押した画像で、いわれは色々あるのですが、その一つにお正月で家族や親せき、仲間が集まり仲良くする事から来ていると言われています。ちなみに仲良くすることをむつきあう(睦月あう)と言うそうです。
真ん中の写真は2月の如月(きさらぎ)で私の誕生月です。本来は衣更着(きさらぎ)と書いて寒い時期で重ね着をするという意味から来ています。
右は3月を表す弥生(やよい)で、冬が終わり草木が芽吹くという意味だそうです。

上の左の写真は、4月の卯月(うつき)の焼印画像で、卯の花が咲く季節という意味合いからきてるそうです。中央の写真は5月の皐月(さつき)の焼印画像で、皐月は、苗を植える時期を表す早苗月が略されたようです。右は、6月を表す水無月(みなづき)で、田んぼに水が沢山ある梅雨明けの時期という意味で無の文字はないという意味ではなく「~の」を表すそうです。

左は7月を表す文月(ふみつき)の焼印画像で、文月は、七夕の短冊に願を書いたことからきています。中央は、8月を表す葉月(はづき)で、葉っぱが落ちる月という意味です。右は9月を表す長月(ながつき)で、秋の夜長を表す夜長月が略されたそうです。

左の写真は、10月の神無月(かんなづき)の焼印を木に押した画像です。神様をお祭りする月という意味があります。中央の写真は、11月の霜月(しもつき)の焼印画像で、霜がおりる寒い時期という意味です。右の写真は12月を表す師走(しわす)の焼印画像で、年末で師が忙しく走り回る様子からきています。

月別の焼印

月別に1日から31日までを表すカレンダー本体部分の焼印についてのご紹介になります。同じ曜日と数字が並んだ月が出てきますので、本来12月分必要ですが、11個の月別焼印で済みました。紹介する画像を11枚並べてもあまり意味がないので3枚だけ抜粋させて頂きました。

月別の焼印画像と解説

上の写真は、月別焼印を木の板に試し押しした画像です。似たようなものなので3枚だけ掲載しました。この焼印、サイズが100ミリと大きい事から、外注で鋳造してもらいましたが、砂型鋳造という方法で鋳造する為に台座部分の厚みが20ミリ程あり、重さも結構ある為に加熱するのに大きな熱源が必要になる事と、薄いベニア板に試し押しした所、印面部分の熱容量が大きいために薄いベニア板が熱でひのってしまいました。薄い板には、大きな直火式焼印が向かない事を改めて感じました。

最後に

今回は、カレンダー焼印を掲載しましたが、100ミリと大きかったために外注に鋳造依頼をしなければならなく、又、文字の配列ごとに焼印を作らないとならない事から11本の月別焼印を作り、その分コストがかさみ、お客様に御迷惑をおかけする事になってしまいました。カレンダー用に数字部分を組み替えて使える焼印が作れればよいのですが、組み替える数字部分が多い事と、多い数字を高精度で配置するだけの技術がありませんでしたので、以後の課題として研究していこうと思います。