焼印で作るお土産品

メタルアートでは、前にお土産品を製作して小樽や札幌市内で委託販売していた事があります。人員の問題等で暫く行っていませんでしたが、今回、ネットでの販売に切り替えて始めようと思い、その製作過程で、丸いキーホルダー用にくり抜いた革に焼印を押しますので、工程順にご案内していきたいと思います。

焼印を利用したお土産表面品作り

小樽には、手宮古代文字という学術的にも貴重な遺跡があります。縄文時代の人が石壁に刻んだ文字とされていて、国の史跡にも指定されていますが、観光資源としての活用は進んでいないのが現状です。十年近く前に、メタルアートでキーホルダーやストラップとして販売していましたので、デザインを変えて製作する事にしました。

手宮古代文字全体
紹介されていた手宮古代文字

上の写真は実際に古代文字記念館内で紹介されている手宮古代文字の全体像です。実際に石壁に刻んだ姿も目にすることが出来ますが、形を判断するのは、結構難しいと思います。

古代文字お土産1
販売していた古代文字ペンダントヘット

上の写真は、実際に販売していた古代文字のペンダントプレートを5種類並べた画像です。材質は、錫合金で、ラバーキャストという鋳造方法で作っていました。

古代文字お土産2
古代文字お土産のパッケージ

上の緑色の写真は、販売していたパッケージの状態でのものです。パッケージはパソコンで作りプリントしてすべて手作りで仕上げていました。

古代文字の焼印表面製作

実際にお土産品として使用する古代文字の焼印をデザインしていきます。作る焼印の大きさは、使う革素材に合わせて35ミリの円形にします。

購入した革拡大図
購入した革の拡大図です。

上の写真は市販されているキーホルダー用の革素材です。瓢箪型した革の裏側を接着し、くぼんだ部分に金具をつけると丸い革製キーホルダーになります。今回はこの片面に焼印を押して、もう片面に古代文字の1文字を入れた形で作りたいと思います。

古代文字焼印
デザインした古代文字焼印

上の画像は、作る事にした古代文字焼印のデザインです。古代文字に正式名称は、手宮古代文字(小樽市手宮町にあるので)になっていますが、お土産品の場合、手宮では、お客様にわからないので、「おたる」の文字も入れました。
焼印スタンドを使い硬めの革に焼印を押しますので、焼印の印面の彫も1ミリと浅い彫にして、100Wの半田ごてでも十分に熱量が足りるように、台座部分も薄めの仕様にします。

古代文字焼印切削画面
古代文字焼印の原型切削

上の写真は、古代文字焼印の原型を切削する時の画面です。印鑑と同じく左右反転にしています。この後にツールパスを取ってから機械切削します。

出来がった古代文字焼印
100W仕様の古代文字焼印

写真は100W仕様で作った古代文字焼印の全景です。焼印スタンドと専用治具を使い革に焼印を押しますので、印面の彫は1mmと極端に浅くしております。(この場合、1ミリ彫っても6ミリ彫っても印影は変わらないので、時間がかからない1ミリで彫りました。又、お客様からのご注文でも同じような状態の場合には、製作金額が安くなりますので1ミリ彫をお勧め致します。)

古代文字焼印を横から見た。
印面部分が見えやすく撮った画像

印面部分が見やすいように少し斜めから撮影しました。表面が硬い革用に作ったので浅く彫っていて、ガス抜き穴もあけていません。

古代文字焼印をスタンドで押す
焼印スタンドと治具を使い古代文字焼印を押した画像

上の写真は焼印専用スタンドと専用治具を使い古代文字焼印を連続5回押した時の画像です。専用治具を使うとミリ単位で正確に焼印を押すことが出来ます。

革に古代文字焼印
革製品の古代文字焼印を押しました。

キーホルダー用の革に古代文字焼印を押した拡大写真です。印面の彫が1ミリと浅くても表面が硬く、変色しにくい革素材の場合には、ガス抜き穴も必要ありません。逆にガス抜き穴を開けると印面の温度が下がりやすくなりますので、この場合のように連続的に焼印を押そうと思ったら穴を開けない方が良いと思います。実は、焼印を押してから気づいたのですが、押す方向が180度間違っていました。確認しないで手元にあるキーホルダー用の革の全部に押してしまい失敗しました。もったいないので今回は逆のまま使ってみます。

 

古代文字の焼印裏面製作

今回の手宮古代文字キーホルダーは、表面と裏面それぞれに違うデザインの焼印を押して見たい思います。裏面には、古代文字の中から、一つずつ個別に文字を取り出して、焼印を作り押したいと思います。一応、5種類の人型の文字を焼印にして押したいと思います。

古代文字5種類
選んだ手宮古代文字5種類

上の画像が今回製作します手宮古代文字の5文字です。人型や動物のような形が多い古代文字の中でもインパクトのあるデザイン5種です。

焼印原型切削画面
手宮古代文字の5つのキャラクター

上の写真は実際の機械切削の画像で、画面からわかるように5つ一度に切削してから1つずつ切りだして5個の原型を作ります。5つ別々に削るよりも効率的で時間が短縮できますし、同じ種類のものをかためて作るとゴム型を作る時にも短縮できるためです。

古代文字個々の焼印
古代文字5種類の焼印です。

上の写真は製作しました5種類の手宮古代文字の焼印です。手宮古代文字については調べても詳しい説明等がありませんでしたので、名前がないとそれぞれ判別するのが難しいという事で、前にお土産品として販売していた時にそれぞれに名前を付けました。この呼称は学術的なものではありませんが、見た感じから推測して名付けました。今回は、この呼称でご紹介させて頂きます。

手宮古代文字焼印 ウイングマン(WING MAN)

手宮古代文字の中で一番有名なデザインになると思います。名前がついていないので見た目からウイングマンとしました。翼をもった人のように見えたのでそう付けました。前にお土産品として手宮古代文字のグッツを作った時に名前がないのは、納品や販売時に不便と感じたので僭越ながら名前をつけさせてもらいました。一度、公的な機関から呼び出され名前の由来を聞かれた事がありますが、公式な名前がないので、お咎めをうかなかったので今回も使わせて頂きます。

ウイングマン焼印
100W仕様のウイングマン焼印です。

上の写真は出来上がったウイングマンの焼印の画像です。高さで19ミリあり、焼印の印面の彫の深さは、6ミリと深く彫っています。本来なら、キーホルダー用の革だけに押すのでれば1ミリ程度の印面で大丈夫ですが、のちに、食品にも押して見たいと思い古代文字のキャラクター全部を6ミリの深彫の印面にしました。

手宮古代文字焼印 マスクマン(MASK MAN)

マスクマン焼印
100W仕様のマスクマン焼印です。

上の写真はマスクマンと名付けた手宮古代文字のキャラクターの焼印です。古代の人は儀式等で動物や色々な仮面をつけていたという事でマスクマンという名前を付けました。手に杖を持っているので別の名前にしようかとも思いました。
最初に宇宙人が光線銃を持っているように思えたのでしたが、あまりにもSFじみているので止めました。

手宮古代文字焼印 アントラー(ANTLER)

アントラー焼印
100W仕様のアントラー焼印です。

上の古代文字キャラクターにはアントラーと名付けました。それは、このキャラクターをよく見ると頭に当たる部分に角があるように見えたので有角人という事でアントラーにしました。現移転では、古代文字自体の解読はされていないのでいつの日か本来の目的と名称がわかる日がくるかもしれませんね。

手宮古代文字焼印 ディール(DEER)

ディール焼印
100W仕様のディール焼印です。

上の写真は古代文字焼印でディールと名付けたキャラクターの写真です。デザインから色々と推測して、鹿の角のように見たので、当時の人も食料として蝦夷鹿を食べていたと思い、当時の貴重なたんぱく源だった蝦夷鹿から連想してつけました。

手宮古代文字焼印 ブルート(BRUTE)

ブルート焼印
100W仕様のブルート焼印です。

この焼印の名前は見た目が四つ足の動物のようでしたので、獣の印として
ブルート(BRUTE)という名前にしました。手宮古代文字は海岸線の近くにありますので、魚や貝も食べていたと思いますが、主なタンパク源はやはり獣の肉だったと思います。

焼印を使った土産品の製造工程

焼印が完成して準備ができたので、実際に革に焼印を押してキーホルダーを完成させていきます。表面、裏面に別の焼印を押す為に焼印の印面を取り換える作業も必要になります。詳細は、焼印スタンド関係でも書いていますのでそちらも合わせてみて頂ければと思います。

革に古代文字焼印の画像
古代文字焼印を革の両面に押す

上の写真は大きな丸い焼印と古代文字のキャラクター5種類を押したキーホルダー用の革素材の画像です。瓢箪型になった中心部から折り曲げるので、上と下の焼印は、180度回転させて押す必要があります。

金具を通す
焼印を押した革に金具を通す

次に革の瓢箪型した細い部分にキーホルダー用の金具を通します。この時、革の方が大きいので軽く折り曲げて通し、向きにも気をつけます。

裏面に糊付け
裏面に接着剤をつけます。

革の裏側の両面に接着剤を塗って、半乾きの状態で貼り合わせます。

プレスリッカーで擦る
剥がれないように擦る

両面をくっつけたら、プレスリッカーという木製の道具を使い強くこすりつけて圧着させます。接着剤が乾いたら出来上がりますので、パッケージをパソコンで印刷して商品にします。

焼印を使い完成した革キーホルダー

パッケージを印刷して出来上がった革キーホルダーを紹介します。焼印と焼印スタンド及び専用治具を使用すると完成度の高い印影を正確な位置に押すことが出来ますので、焼印の使用用途が広がります。

焼印ウイングマン(WING MAN)のキーホルダー

ウイングマンキーホルダー
ウイングマンキーホルダーの両面

両面に別々の焼印を押した革キーホルダーウイングマンです。革のベージュ色と焼印の薄茶色が上品な感じを作ります。

出来上がったウイングマン
出来上がったウイングマンキーホルダー

上の写真はパッケージに入れたウイングマンキーホルダーの両面です。台紙から裏面が見えないので、台紙を丸く切り取りました。又、下の部分には手宮古代文字の全体像を印刷しておきました。

焼印マスクマン(MASK MAN)のキーホルダー

マスクマンキーホルダー
マスクマンキーホルダーの両面

マスクマンキーホルダーの両面画像です。もう少しキャラクターを大きく作った方が良かったかもしれません。

出来上がったマスクマン
出来上がったマスクマンキーホルダー

光の加減で少し見えにくい部分がありますが出来上がったマスクマンキーホルダーの両面写真です。

焼印アントラー(ANTLER)のキーホルダー

アントラーキーホルダー
アントラーキーホルダーの両面

アントラーキーホルダーの両面画像です。頭の角の部分の細かな所が良く出ていませんが、大きさ的な問題の為にこれ以上細かくするのは難しいと思います。

出来上がったアントラー
出来上がったアントラーキーホルダー

上の写真は出来上がったアントラーキーホルダーの両面ですが、古代文字の全体像が入った裏面で、アントラーの部分だけ色を変えてプリントすればもっと訴求力のあるパッケージになったと今思いました。

焼印ディール(DEER)のキーホルダー

ディールキーホルダー
ディールキーホルダーの両面

出来上がったディールのキーホルダーですが、キャラクター部分、少し焼けすぎたようで黒っぽくなってしまいました。

出来上がったディール
出来上がったディールキーホルダー

パッケージ詰めしたディールキーホルダーの両面画像です。もう少し飾りが欲しい所です。

焼印ブルート(BRUTE)のキーホルダー

ブルートキーホルダー
ブルートキーホルダーの両面

上の写真は焼印を押して作ったブルートキーホルダーの両面画像です。

出来上がったブルート
出来上がったブルートキーホルダー

出来上がったブルートのキーホルダーです。今回は、焼印を使って革キーホルダーを作りましたが、焼印を使った別のお土産品も考察中なので準備が出来ましたら掲載いたします。