焼印をお菓子に押す

色々なお菓子に焼印を押したらどのように押せるのかを実験してみました。実は、今までの経験から同じ種類のお菓子でもメーカーが違うと成分の構成が違い焼印を押した時の写り具合が全然違う事があるのがわかりますので、参考の為にお菓子のパッケージも載せてみました。焼印は直火式の小さな焼印を私自身の手で押しましたので、焼印を初めて使う人よりは、多少使い慣れている場合に結果と思ってもらえればと思います。勿論、お菓子屋さんの焼印を専門に押す職人さんにはかないませんので、普通の人と専門の職人さんの中間位の技量のものが押したと考えてもらえれば良いと思います。

左の写真は、今回、焼印を炙る為に使用したガスバーナーです。右は実際に焼印を炙っている画像です。今回は、なるべく皆様方の参考になるように、バーナー先端から印面までの距離を7cmとして加熱します。

煎餅に焼印を押す。

はじめに、色々な煎餅にせんべい(煎餅)に焼印を押して試してみました。バターや油脂等をあまり含まない和風の煎餅を使いました。バター類が多いクッキーの場合には、同じクッキーでもメーカーにより全然違う結果になり、押せるものから全然押せない物まで出てきますので、クッキーにつきましては、成分の違う何種類かのクッキーを試し押しして結果をお伝えしないとあまり意味がないので、今回は使いませんでしたが、後日、違う切り口からお伝えしたいと思います。

海老煎餅に焼印を押す。

子供さんも良く食べる海老煎餅に焼印を押して見ました。海老煎餅と言っても高級品から駄菓子屋さんで売られているタイプのものまでありますが、今回は、子供がおやつとして食べる価格帯の海老煎餅を使いました。海老煎餅は分類的には和菓子になり、海老とデンプンから作られ一般的な米を原料とする煎餅とは異なります。愛知県が生産額日本一になっています。その海老煎餅自体にも種類があるそうで、「海老満月」とよばれるものは、乾燥海老をそのままの姿で使い、海になぞらえて海藻類も用いて丸い形に形成されており、「ゆかり」と呼ばれるものは、海老を殻ごとすりつぶして使い、海老の割合が多い濃厚な味が特徴で、「海老みりん揚げ」は、塩味ではなくみりん味にしたものになります。今回、焼印に使用した海老煎餅は、形的には「海老満月」で味覚的には「海老みりん揚げ」になります。

使った海老煎餅
使った海老煎餅画像

上の写真は、今回、焼印を押すのに使った海老煎餅です。使用原料としてじゃがいも澱粉、さつまいも澱粉、しょう油、砂糖、還元水あめ、みりん、植物油脂、食塩、えび粉、唐辛子、調味料等と書かれています。直径約13cmで厚さ約3ミリです。

最初にコーギーの直火式焼印を押して見ました。今回はすべて直火式焼印を使いバーナーの炙り加減を調整しつつ、加熱してから、一定時間(20秒毎)たってから押して見て印影との関係を見てみました。焼印の押し加減がわかるように同じ焼印を木に押した物を最初にご提示します。

ミニ焼印コーギーを木へ
ミニ焼印コーギーを木に押した画像

上の写真は比べる為に同じコーギーの焼印を木の板に押したものです。

今回、海老煎餅に焼印を押した時の条件は、最初で説明したバーナーと印面の距離を7cmにして、最初に25秒間加熱して、すぐに一回目を押して、20秒待って二回目を押し、それから20秒待って三回目を押し、さらに20秒待って最後の4回目を押しています。時間がたち、印面の温度が下がってくると焼印を押した印影も変わりますので見比べてください。左の写真は、25秒間加熱してすぐに焼印を押した画像になります。印面が高温なので、表面が溶けて印面が滑りやすくやすくなります。米を使った煎餅では、印面が滑りやすくなりませんので、澱粉を使った煎餅なので、表面が溶けて滑りやすくなったと思います。多少、滑ったせいもありますが周りまで黒い焦げがついています。右の写真は、20秒間冷やしてから押したものです。(部屋の中で手でもって20秒待ちました。室温は17度でした。)焼印の印面温度が幾分か下がったので、表面が滑る事がなくなり最初の画像よりも犬の形がハッキリとしています。印面を煎餅に押し付けている時間も一定にする為、いち、に、さんと数えてさんで離すようにしています。

左の写真はさらに20秒経った後に押した画像です。(1回目の焼印を押してから40秒後)コーギーの形がわかるようになりました。通常、この位の温度の状態で焼印を押せば一番綺麗に押せる事になります。右の写真はさらに20秒経ってから焼印を押した画像です。右側の方、温度が低くなったせいかうまく焼けていません。もう少し長めに押していれば綺麗に押せたと思いますが、今回は押す時間も一定にしたかったのでこのようになりました。お菓子屋さんの焼印を押す職人さんは、一度、直火式焼印を加熱すると、幾つも連続して押しますので、押す回数により微妙に押す時間を調整して押しています。

続いて秋田犬の焼印も同様の条件で押していきます。

ミニ焼印秋田犬を木へ
ミニ焼印秋田犬を木に押した画像

上の写真は比べる為に木に押したものを提示しました。

左の写真は、25秒加熱後に押した画像です。やはり、焼印が滑りやすくなり印影が大きくなってしまいました。右は、20秒後におしたものです。秋田犬の形がわかるようになってきました。

左の写真はさらに20秒経ってから押した画像で、この位が一番よく焼印を押せる温度だと思います。右は、さらに20秒経過してから押した画像になりますが、印面が冷めてあまり焼けなくなっています。

次に四葉のクローバーの焼印を海老煎餅に押して見ます。焼印を押す条件は前の二つと同様です。

ミニクローバー焼印を木へ
ミニクローバー焼印を木へ押した画像

上の写真は、海老煎餅に押す焼印と同じものを木に押した時の画像です。見比べて頂ければと思います。

左の写真はクローバー焼印を25秒間炙ってすぐに押した時の画像です。印面が滑りやすく端端に焦げ目がついています。右の写真は20秒後のものですが四葉のクローバーだとわかるようになっています。犬の時と違い、クローバーの焼印の印面には空気が通れる隙間がありますので、その部分と周りの温度が冷めやすい為に比較的印影がしっかりしていると思います。

左の写真は一回目を押してから40秒後の3回目に押した画像です。凹部分に空気が通るので冷やされるのも早く、凹部分の回りから温度が下がるので、デザインが尚更ハッキリとしてきています。一番綺麗に押せる状態は、2番目と3番目の中間位の温めてから30秒程経った頃だと思います。右の写真は、その20秒後ですが、焼印が冷めてしまい印影が写らなくなってきています。このように、同じ条件で焼印を炙って加熱しても、焼印に凹部分がある場合には、温度が下がりやすくなり、その分、焼印を押すタイミングも早くなります。

続いてダブルハートの焼印を押して見ます。この焼印は上の3つと違い、面の部分がなく、線で構成されていますので、上の3つとは少し変わってくると思います。

ハート焼印を木へ
ダブルハート焼印を木に押す

上の写真はこれから試し押しをする同じ焼印を木に押した時のものですので、見比べてもらうと幸いです。

左の写真は、バーナーで25秒間温めてすぐに押した画像です。周りに焦げ付きがありますがハートだとわかりそうです。焼印の印面が煎餅に触れる面積が小さいので焦げが大きく広がらないのが原因だと思います。右の写真は20秒後に押したものですが、印面の冷えるのも早いので、もう形がハッキリとしてきています。

左の写真は更に20秒経ってから押した画像です。そして右の画像は、その後20秒経ってからの画像ですが、この二つの画像にはあまり差が見当たらないのは、印面の温度は下がっているのですが、焼印の印面が煎餅に触れる面積が小さいので、力の入り具合で同じような印影になったと思います。

サラダ煎餅に焼印を押す。

皆さんご存知の塩味のきいたサラダ煎餅に焼印を押してみました。焼印を加熱する条件と時間、デザインも海老煎餅と同じくしましたので比べてみてください。

ソフトサラダ煎餅
ソフトサラダ煎餅の画像

上の写真は今回、焼印を押すのに使用した煎餅のパッケージです。煎餅本体は硬く、焼印を押すときにあまり力を入れると割れてしまうので、注意深く押しました。パッケージに書かれていた原材料は、うるち米、もち米、植物油脂、澱粉、食塩、カツオエキスパウダー等と書かれていました。油脂成分がどれくらいあるかで印影が変わるので、油分の割合がわかれば良いのですが?

左の写真は、海老煎餅の時と同じコーギーの焼印を同じ条件でソフトサラダの煎餅に押した時の画像です。煎餅の表面が凸凹していて硬いので、軽押しただけでは印面が煎餅に触れない箇所が出てくるので、煎餅が割れない範囲で力を加えますと、印面が厚いので少しずつ煎餅に印面が食い込んでいきます。最初に思った通り硬さと凸凹で綺麗に押せませんでした。右の写真は、20秒後に押した画像です。時間がたっている分、印面の温度が下がり結果的に犬らしい画像になってきました。

左の写真は、初めに焼印を押してから40秒後に押した時の画像です。煎餅の質から綺麗に押せていませんが、この位の時に丁度良い温度になっていると思います。右に画像はさらに20秒後に押した焼印の画像です。印面の端の方の温度が下がってうまく焼けなくなっています。

続いて秋田犬の焼印を押して見ます。

左は、25秒間ガスバーナーで炙り直ぐに押した時の画像です、煎餅の表面が硬いので思ったより力を加えすぎて深くめり込んでしまったようです。右は、20秒後に再度押した時の画像です。力加減は左の写真と同じくらいですが、焼印の温度が低い分、めり込みが減ったと思います。

左の写真は、最初に焼印を押してから40秒後に押した画像です。力加減のせいか端端が黒い固まりになっています。右は左の20秒後に押した画像です。4枚の画像の中で一番最後が良かったのは、油脂分が多い為かと思われます。

次に四葉のクローバーの焼印を同じ条件で押して見ます。

左の写真は加熱してすぐに四葉のクローバー焼印を押した画像です。四枚の葉の間に細い隙間がありますので、印面の葉の部分にあたって柔らかくなった焦げ部分がその細い隙間に入り込んで盛り上がっています。右の写真は左を押してから20秒後に押したもので、焼印の温度が下がっている分、はみ出している焦げ部分も少なくなっています。

左の写真は、一回目の焼印を押してから40秒後に押した画像です。その前の画像とあまり変わらないと思います。下の葉の部分が上手く出ていないのは、印面のせいではなく、煎餅自体に気泡があった為です。右の写真は最初に焼印を押してから60秒後に押した画像になります。よく見ると上の部分だけ焦げているように見えますが、焦げの塊がついたものと思います。印面の温度は、下がっているので茎の部分としたの葉はハッキリと写っていません。

ソフトサラダ煎餅の最後の焼印はダブルハートになります。

左の写真は25秒加熱後すぐに押した一回目の焼印画像です。印面の温度が高すぎて周りがかなり焦げていますが、輪郭線だけの焼印なので何となくデザインもわかります。右は、20秒後の二回目の焼印を押した時の画像です。一回目よりはわかりやすくなっています。印面が他の3つよりも小さいので、同じ条件で加熱すると加熱しすぎになってしまいます。

左の写真は3回目に押した時の画像です。あまり焦げも無くなりました。印面が小さい分冷めるのも早いようです。右は、最後の4回目に押した画像になります。周りを焦がすだけの熱量がなく、印面が煎餅に触れている部分だけが熱で柔らかくなり沈み込んでいます。今回、2種類の煎餅に焼印を押しましたが、それぞれ適温が違うようで、煎餅毎に詳細なデータをとらないと綺麗に押すことは難しいと思いました。

大福に焼印を押す。

次に大福に焼印を押して見ました。普通の大福ですと、焼印を試し押しした後に食べるのが大変になるため、ミニ大福を1袋購入して押しました。勿論、焼印を試し押しをした後は、美味しく頂きました。 ミニ大福を開けてみて一つ気がついた事がありましたが、普通の大きさの大福より皮が薄く感じましたのでその分十分に注意して焼印を押す事にしました。煎餅に押した時と1本を抜かして同じデザインで押しましたので、見比べてもらい参考にしてもらえればと思います。
焼印の押し方も煎餅の時と同じくしましたが、4回押さずに2回目までとしました。

大福にコーギー焼印を押す。

左の写真は、煎餅の時と条件を同じく25秒間加熱した焼印をすぐに押した時の画像です。印面の温度が少し高かったようで回りが一回り位大きく変色してしまいました。大福の表面についている粉の部分が熱で焦げたようです。粉を綺麗に払ってから押した方がよかったようです。右の写真は、1回目を押して20秒後に押した時の画像です。この画像をよく見ると、コーギーの体部分は変色して焦げていなく皮の部分が溶けて凹になっているだけで、外側の焦げた部分は、大福に付着していた粉が焦げた部分でしたので、大福に焼印を押す場合には、ひと手間かかっても表面の粉を刷毛等で丁寧に払ってから押せば綺麗に押せると思います。

大福に秋田犬焼印を押す。

上の左は、焼印を加熱してすぐに押した時の画像です。犬の体の中の一部分が多少変色していて、周りだけ焦げた状態です。右は20秒後に押したものですが、周りの焦げの部分は少なく濃くなっている感じがします。どちらも餅の表面は凹んでいるので、焼印の熱で溶けて凹んだものと思われ、焦げて色がつく前に、餅の表面が溶けてしまうようです。餅の皮によって変わってくると思いますが、今回使った大福の皮は熱に溶けやすい物と思われます。

大福にクローバー焼印を押す。

続いて四葉のクローバーの焼印を押して見ました。左の画像は、同じように25秒加熱して押したものです。葉の間の隙間に餅の表面が溶けて入り込んだような状態です。焦げているのは、表面に付着している粉だと思います。右の写真は、思い切って、表面の粉を刷毛で落としてから、20秒たった後に押した焼印です。この事から、焦げていたのは表面についた粉だったと判明しました。餅の皮の部分は変色しないで溶けて凹んだ状態になっていますので、大福に目立たないように模様をつける為には、表面の粉を払えば出来る事がわかりました。又、この凹んだ部分印面を当てて冷えるまでの間は溶けたような状態になっていましたので、例えば冷える前にきな粉をかけて、冷えてから払えばクローバーの部分だけきな粉の黄緑色の大福が出来ると思います。うまく利用すれば大福に焼印と使い色々な色を入れる事が出来るかもしれません。折を見て実験して報告してみたいと思います。

大福にダブルハート焼印を押す。

大福とハート焼印
大福とハート焼印の画像

今回は大福が2個くっついて大きかったので、1個の大福に2か所押して見ました。左側のハートが、加熱してすぐ押したもので、右側が20秒後に押した画像ですが、今回はあまり差異がありませんでした。

大福に猫焼印を押す。

大福が余りましたので、急遽、猫の焼印を押して見ました。左は、最初に押した画像です。大福の豆が入っている場所をずらして焼印を押しているので、下の方になってしまいました。右は20秒後に押したものですが、今までの結果と同じだと思いました。

カステラに焼印を押す。

カステラに同じようにして焼印を押して見ます。今回はミニカステラを使い4種類の焼印を押しました。ミニカステラは、普通にお菓子屋さんで販売されているカステラより密度が低く、少し軽いので市販のカステラ程綺麗に押せないと思われます。市販のカステラは、弾力性がありしっとりとして焼印を押しやすい食材になりますが、ミニカステラは所処、気泡があるのでその点を注意して押して見ます。

ミニカステラ
ミニカステラの袋

上の写真の商品に押して見ました。焼印を押す条件は煎餅や大福の時と同じく25秒加熱して1回目を押し、20秒待って2回目を押す方法です。

カステラにコーギー焼印を押す。

左は、加熱してすぐに焼印を押した画像で、コーギーの形もわかり、比較的、いい色で焦げ付きもあると思います。焼印が小さいわりには綺麗に押せました。
右は20秒経ってからの画像ですが、表面を焦がすだけの熱量がなく、表面をわずかに溶かして凹ませている程度です。この事からカステラに焼印を押す場合には案外、温度を高めにしないと焼跡がつかない事がわかります。

カステラに秋田犬焼印を押す。

続いて秋田犬の焼印を押して見ます。

左は加熱してすぐ、右は20秒後に焼印を押した印影ですが、右の方は犬の形がわからないほど印面温度が下がっていますので、カステラには高めの設定が必要だとわかりますが、その分、直火式で連続押しするのは難しくなるでしょう。

カステラにクローバー焼印を押す。

四葉のクローバーの焼印をカステラに押します。この焼印には、葉の間に隙間がありますのでその部分がどのように映るか見てください。

左の最初に押した焼印画像はちょうどよい色合いです。葉の隙間部分も変色していないので焼印を押しやすい素材だと思います。右の20秒後の画像は、熱量不足で色がついていません。同じ食品でも煎餅では、3回目の40秒後位が一番よい画像でしたので、焼印を加熱具合の難しさがわかると思います。

カステラにダブルハート焼印を押す。

最後にダブルハート焼印をカステラに押して見たいと思います。面のない線で構成された焼印なので、どんなようい押せるでしょうか。

左の写真加熱してすぐの画像です、ちょうどよい具合に焼けていると思います。右の画像は、20秒後の画像ですが、ハートである事がわかりますので、他の焼印で二回目に押したものよりは綺麗に出ています。これは、印面の温度は他の焼印を同じく低いのですが、面がなく線だけで出来ているので、部分的に力が強く伝わり、表面を若干溶かしながら凹みが深くなった結果だと思います。

最後の結果として!

色々な食品に焼印を押してきてわかった事は、煎餅は比較的低温の方が焼けやすい事と、意外とカステラは温度が高い方が綺麗に押せる事、焼印のデザインも面の広い物より、線で構成されたデザインの方がお菓子用の焼印としては向いている事でした。