革に押す焼印

色々な革に押す焼印

革に押すための焼印を作りますが、革の種類や色により押しやすさが変わってきます。天然の革には綺麗に押せますが、合成皮革の場合には、印面の熱で周りまで溶けてしまいボケた印影になってしまうので、向かないと思います。
革の種類に詳しくありませんが、茶色で少し光沢のある革素材に試し押ししてみました。
革は比較的焼印を押し易い素材で小さな焼印でも綺麗に押すことができます。
革に焼印をおした場合、長いこと使用していると印影が薄くなってきます。これは革の表面を焼印の熱で焦がして黒くしている粒子が少しずつはがれて減ることと、紫外線等により色抜けがおこるためです。逆にこれが、長年使い込んでいる革の魅力を醸し出しているのも事実ですが。

茶色の革に焼印

普通にあります茶色の牛革に焼印を押してみました。革には色々な種類があります。簡単に説明すると、ヌメ革(タンニンを使いなめした革を染色しないで仕上げたもので、薄茶色からベージュ色をしている。)この他に、スエード、ベロア、ヌバック、ガラス張り、エナメル、型押し、オイルレザー、もみ革、シュリンク等あるそうですが、今回の試し押しに使うのは、ヌメ革とヌメ革を茶色と白で染色したものです。

茶色に染色したヌメ革に焼印

最初に、ヌメ革を薄く茶色に染色した革に焼印を押したものをご紹介します。革は焼印が綺麗に押せる素材ですので、小さな焼印でも綺麗に出ています。

小さめの焼印を押しました。

上の写真は小さな焼印を茶色の革に押したものです。一番左は、幅15ミリ、高さ20ミリの焼印です。40W電気ゴテ仕様の焼印です。革のように焼印が推しやすい素材ですと比較的簡単に初心者でも綺麗に押せますが、木板に押す場合には、経験が必要になります。左から2番目は、一番左の焼印のデザインを反転したものです。焼印をしては、2番目の方が押しやすく、このデザインですと初心者でも木板に綺麗に押せると思います。右から2番目の写真は、角印型をした25ミリの焼印ですが、これも革ですと押しやすいのですが、木板ですと難しい部類に入ると思います。右の写真は、20ミリの角形ですが、白い部分(印面が凹)部分が多く放射熱が少なくなりますので、初心者でも木板に綺麗に押せるデザインです。

一番多いサイズの焼印を押しました。

上の4枚の写真は、中くらいの大きさの焼印を茶色の革に押した画像です。
左は、30ミリの四角のデザインで文字をデザイン化したものです。適度に余白がありバランスの良い押しやすい焼印です。左から2番目は、40ミリの六角形の焼印で内側にも小さな六角形があり、周りを文字が囲むデザインです。六角形は丸に近い形で、押した時にバランスよく均等に力がかかるので、押しやすい形状になります。右から2番目は40ミリの文字とハートで構成された焼印です。縦や横に長い焼印の場合、短辺と長辺の比が1:4位までであれば、押しやすい焼印になりますが1:6を超えますと、押すのが難しく、技量が必要になります。
右の写真は、外形こそ複雑に見えますが、縦横比が小さく、見た目よりも押しやすい焼印になります。

大きなサイズの焼印を押しました。

上の画像は、大きめの焼印を茶色の革に押したものです。一番左は60ミリの焼印を押したものです。この位の大きがありますと、デザインが多少混み合っていても綺麗に押すことができます。左から2番目は50ミリの大きさの焼印ですが、下の文字部分に細い輪郭枠があり、この部分製作するのが、難しい箇所になります。細くて長い線の場合、鋳造で途切れずに作るのは大変で、電気炉で鋳型を加熱する温度を通常より少し高めにして、金属を溶かす温度も若干高くし、素早く注湯するようにします。右から2番目は、50ミリの大きさですが、両端に並んだ木の幹部分が細いので、蝋型を作るときに、細い部分に湯(溶けた金属)の周りがよくなるように、補助の湯道を何本か追加する必要が出てきます。
一番右は、100ミリの大きな焼印です。このデザインの場合には、右上のTMの文字が出にくくなるので、太めの補助の湯道をこの部分の裏側につけて出やすくします。

薄茶のヌメ革に焼印を押す

無染色の薄い茶色のヌメ革に焼印を押してみました。革屋さんではないのでよくわかりませんが、無染色のヌメ革の色が私は一番好きです。自然な色あいでいて革らしさを感じさせてくれるからです。私の場合、焼印を押す革の購入をヤフオクで色々混じっている革を箱買して購入しています。単独で買うと結構高いので箱で買っていますが、逆にどの革が、どのようになめし、染色されているのかわからない欠点もあります。どなたか革に詳しい方で、革のハギレを譲ってくれる方がありましたらご連絡お待ちしております。

小さなサイズです。

上の写真は、薄茶色(見た目ベージュですが)の革(無染色のヌメ革)に小さな焼印を押した画像です。
一番左は10ミリの小さな焼印ですが、革の場合、この位はっきりとした印影が出来ます。左から2番目は、9ミリの四角い焼印で、割り箸に押すために製作したものですが、革に試し押ししてみました。焼印の温度が低かったので、印影が多少薄くなっています。右から2番目は、幅25ミリの焼印で、左側の木の輪郭部分が線が細く、製作が難しいデザインですが、シンプルで使いやすい焼印です。
一番右は、幅24ミリの焼印で上の円形になった部分、少しわかりにくいかもしれませんが、文字を円形に配置したデザインになっています。下のカンマ部分小さくて作れるかギリギリの大きさでした。

標準的なサイズです。

上の写真は、30ミリ前後の標準的な大きさの焼印を押した画像です。このサイズの焼印の製作が全体の60%位を占めます。左端の画像は、30ミリの焼印で80W電気ゴテ仕様で製作したものです。左から2番目は高さ30ミリですが、画数の多い漢字を含んでいますので、革でないとここまで綺麗に押せないデザインです。
右から2番目は、40ミリの焼印で100W電気ゴテ仕様で作ったものです。一番右は、40ミリの円形で中央部のフクロウを枠で囲みその周りに文字を配置してさらに外側に綱を結んで配置したインパクトのあるデザインでボーイスカウトのロゴマークです。

大きめのサイズです。

変わって、上の写真は大きめの焼印を押したものです。印面が大きくなると、細かなデザインでも綺麗に押せるようになりますので、デザイン的に凝ったものが多くなります。左は、50ミリの東京造形大学の焼印です。真ん中部分の英字を綺麗に出すにはこの位の大きさがないと難しくなります。左から2番目は、50ミリ円形のデザインで、円周の上部に文字があります。実は、このデザイン、鋳造する場合に難しいので、川口市立芝中央小学校の文字の裏側の印面部分には、鋳造時の溶けた金属の流れをよくする為に、補助の湯道を3本つけて製作しました。
右から2番目は、黒塗りのベタなデザインの中に白い細い線がありますので、実際に焼印を押す場合には、印面の温度に注意しないと放射熱で、細い線がつぶれてしまう押すのが難しい焼印です。このように、単純なデザインの方が押すのは難しい事がよくあります。一番右は、80ミリの中抜き文字の焼印です。中抜き文字の場合、作るのは難しいのですが、押すのは見た目によらず案外簡単で、初心者でも綺麗に押せます。

こげ茶色の革に焼印

こげ茶色の革に小さめの焼印を押して試しました。残念ながら、焼印による色目が黒く革の色も黒に近いためにあまり目立たず、印影も綺麗ではありません。印面のデザインの確認は出来ますので、さりげなくマークを焼印したい場合には、活用できると思います。

サイズ小

上の写真はこげ茶色の革に焼印を押したものです。4枚とも多少色が違うように見えますが、同じ革に押してありますので、光の加減と撮り方によって変わってきたものと思います。下手ですみません。
左は、25ミリの四角いデザインです。文字も枠も確認できますが全体的に暗いのであまり目立ちません。一般的に色の濃い革には、焼印ではなく、箔押しして金や銀の光るような色にすることが多いのがわかります。
左から2番目は幅25ミリの北海道の形をした焼印で中心部分に1コ/500と文字入れしてあります。あまり目立ちませんが、焼印を押しやすい革なので、ここまで綺麗に出ています。右から2番目はねずみの焼印です。25ミリ程ですが、はっきり押せています。絵馬に使用するものです。右は、20ミリ楕円形の焼印です。上部の方が少し印影が薄くなっていますが、私の押し方が下手なせいです。

標準サイズ及び大

こげ茶色の革に標準的なサイズと大きめサイズの焼印を押してみました。
左は30ミリの文字焼印ですが、この焼印、お菓子用に6ミリの深彫りで製作したものを革に試し押ししましたので直火式でもたいへん押しやすい焼印でした。
左から2番目は40ミリの縦型のデザインです。このサイズとデザインですと木板でも問題なく綺麗に押せます。右から2番目は幅45ミリの文字焼印ですが、高さが6ミリ程度しかないので、押すときに少し力が入ると革に印面がめり込んでしまうので、軽く押す必要があります。一番右は70ミリの大きな焼印です。文字が細いので革に押す場合には、力加減が難しいのですが、木板に押すものなので硬い木板には押しやすいと思います。

白い革に焼印を押しました。

次に白い革に焼印を押して試してみました。押す前は、色が白いので、焼印の黒が映えて綺麗にうつると思っていましたが、全く、綺麗に押せませんでした。白い染料の成分はわかりませんが、焦げにくい材料を使っているものと思われます。

上の写真は白い革に焼印を押した画像です。印影が薄くなっていますが、焼印の温度が低いためではなく、適温で押しても薄くしか映りません。
左は10ミリ程の小さな焼印で押したあとはわかるのですが、黒く焦げることはありませんでした。念の為に温度を高めにして押してみましたが、色は薄いままで裏側の方に跡がついてしまいました。左から2番目は18ミリ程の丸い焼印ですが、同じように上手くおせません。右から2番目は、30ミリの四角い焼印ですが結果は同じです。一番右は50ミリの文字焼印で、デザインから小さな(丘のまち)の文字部分は他の部分より力が入り濃くなるはずですが、同じような色になってしまいました。この結果、白い革には、焼印が向かないことがわかりました。白い染料のせいだと思いますが、焼印の場合、印面の温度は400度前後なので、もっと高温になるレーザー彫刻機で焼けば綺麗に出るかもしれません。時間がありましたら一度、試して見たいと思います。

濃い緑色の革に焼印を押す。

白い革は、期待に反して焼印には、向かないことがわかりましたので、今度は濃い緑色の革に押してみました。結果は思った通りにあまり綺麗に押せませんでした。やはりダーク系の色の革には、焼印は向かないようです。

上の写真は、濃い緑色の革に焼印を押した画像です。革の地の色が濃いので、焼印の陰影は殆どわかりません。一番左は12ミリ程の小さな焼印を押したものですが押した跡ははっきりとわかるのですが、背景と印影が同じような色なので殆ど目立ちません。左から2番目は、直火式焼印でしたので、温度をかなり高めにして押してみました。熱で跡がはっきりとしていますが印影自体は目立ちませんでした。右から2番目は、35ミリ程の文字焼印を押してみました。一番右は30ミリ角の焼印ですが、全然目立ちません。結果としまして、濃い緑色の革も焼印には不向きであることが確認されました。

型押しした薄い茶色の革に焼印を押しました。

最後に型押しして表面が凸凹した薄い茶色の革に焼印を押してみました。
革の色としては、印影が綺麗に映ると期待していました。只、型押しした部分だけ印影が途切れてしまうのではないかと考えていました。

型押しした薄い茶色の革に焼印をした写真になります。一番左は、小さな焼印なので型押しで凸凹していない部分に押しました。極小サイズの焼印ですが、綺麗に押すことができました。左から2番目は凸凹している部分を跨いで焼印を押しました。若干薄くなっている部分もありますが文字を読むことは出来ます。
右から2番目は30ミリ角形焼印を凸凹部分に押しました。革自体が柔らかいので凸凹が吸収されて印影は途切れずに押せました。右の写真は、75ミリの大きな焼印をいくつもの凸凹を跨いで押してみました。思ったより綺麗に押せていますので型押しした革でも、案外綺麗に焼印が押せることがわかりました。