お寺の焼印製作

お寺の焼印

昔からお寺では、焼印がよく使われきました。手桶や箒等の作業用の小物に所在を示すために押してきました。その流れで今でも色々な所で使われ続けています。そんな、お寺の焼印に関する事を取り上げてみました。

お寺の看板から焼印製作

普通、焼印をつくる場合、会社や個人の方の場合には、自分のお気に入りのデザインや会社のロゴ等、デザインを用意して注文頂く場合が多いのですが、お寺からのご注文の場合、本堂の看板と同じもので焼印を作りたいとの依頼が結構あります。ちなみに本堂に掲げている看板は扁額(へんがく)と呼ぶそうです。(扁額とは、鳥居や門の高い位置に掲げられた看板状の額だそうです。)特にお寺の場合には、寺額とも呼ばれるそうですが。そのような寺額ですが、有名なお坊さんの書をもとにして作られていたり、先代の住職や開祖の方の書から作られている事が多いので寺額から焼印を作りたいと言われると思います。

藤源寺様の焼印

藤源寺様からの焼印製作依頼も寺額から作りたいとの事でした。本堂の寺額の文字と同じ文字を使い、寺額は横書きですが、縦書きに替えて変わった枠を付けたいとの事でした寺額を写真に取ってメールに添付してお送り頂きました。

藤源寺の寺額
藤源寺の寺額の写真

上の写真は、ご提供頂きました藤源寺様の寺額です。金箔を貼った立派なものです。この写真をイラストレーターに配置して文字の輪郭を取ってデザインを作ります。

藤源寺のトレース
藤源寺のトレース写真

写真は、実際にイラストレーターの画面に写真を配置して、トレースを始めた画像です。精度を上げるために写真は部分的に拡大して行いますが、この時、写真の解像度が高いほど拡大しても輪郭がハッキリと鮮明になりますので、高解像度の写真の方が忠実に再現出来ることになります。又、上の写真では、トレースした線を赤線で描いていますが、見やすいように太い線にしてみましたが、実際にデータを作る場合には、一番細い線にした方が、出来上がるデータの精度が高くなります。

藤源寺の焼印
藤源寺の焼印の画像

上の写真は、寺額からトレースした文字を縦書きに変更して、上下が太い線になっている変形した枠で囲い作った焼印をシナベニアに試し押しした画像です。
大きさは高さ45mmで幅15mmの直火式の仕様で製作しました。お寺からの注文の場合、殆どが、直火式焼印での注文になるのも、電気ゴテ式焼印が無い昔から焼印を使い続けてきたからだと思います。

書からの焼印製作

和尚さんや住職さんが実際に描いた書から焼印を作りたいとの依頼も結構あります。この場合、実際に描いた書をお送り頂く訳には行きませんので、写真に撮ったり、コピーして送ってもらって製作することになります。今回は、コピーしたものをFAXでお送り頂き、そこから焼印を製作しました。

神勝襌寺様の焼印

神勝襌寺様より焼印を作りたいと言うことで書いた書をFAXにて送ってもらい製作いたしました。神勝襌寺様は、臨済宗建仁寺7代管長の益州宗進襌師に深く帰依された開基神原秀夫氏が開山に招請して建立された臨済宗建仁寺派の特例地寺院です。亡くなられた方を供養する寺であると共に、国際襌道場等もあります。
国際襌道場では、国籍、宗派を問わず襌の修行ができ、1泊2日での襌修行も、日帰りの襌修行もあります。又、神勝寺襌と庭のミュージアムという所もあり、庭を散策して、書を見つめて、茶を嗜み、生物として生きていくための食を味わい、日頃身につけた垢を洗い流す体験から襌の本質を感じてもらう施設です。

上の左の写真は、FAXで送られてきた書を画像にしたものです。この画像より焼印製作用のデータを作成して作りました。中央の写真は、枠付きで書の文字を焼印にしたものです。高さ80mmの大きな焼印で300W電気ゴテ仕様で製作しました。右の写真は、同じものを枠をつけずに小さくした焼印です。高さ40mmで100W電気ゴテ仕様で作りました。書から焼印を製作する場合には、筆特有のハネやカスレ部分を再現するのが大変な所です。出来る限り忠実に再現するように心かけていますが、どうしても再現が難しい場合には、お客様と相談して、太めにしたり、除いたりして作る事になります。

書からお経の焼印製作

お寺からの焼印の注文で、お寺の名前等ではなく、お経の焼印を書いたお経より製作する場合もあります。この場合、達筆な書から作らなければならない為に、ある程度大きなサイズでないと製作出来ない場合があります。

お経の焼印
お経の焼印画像

上の写真は南妙法蓮華経と書かれた焼印です。筆字の文字から焼印を作るのは、結構大変です。高さ60mmの直火式焼印で製作しました。

頂戴したデザインからの焼印製作

あらかじめ作りたい焼印のデザイン決めて送ってもらい製作する場合もあります。その場合、送ってもらったデザインからそのまま製作する場合と、物理的に焼印を製造するのが難しいデザインの場合には、ご相談しつつ、デザインを修正してから製作することもあります。作りたいデザインをもらえる場合が製作側としても依頼する側としても一番良く、お客様の意思にそったご希望のデザインで
納期も短く作れることになります。

安楽寺様の焼印

デザインを頂戴して作った焼印ですが、頂戴いたしましたデザインをそのまま製作すると、綺麗に押せない焼印になってしまいますので、黒塗のデザインから文字部分を白黒反転させて製作しました。元々、画像のデザインでしたので、輪郭を抽出してから文字部分だけを黒く塗りつぶしての製作になりました。

上の左の写真は、頂戴いたしましたデザイン画です。文字が白抜きでしたが、枠をつけて文字部分を反転させて作ることになりました。中心の仏様の部分が、そのまま焼印にするとうまくでないので、線分調整をしました。真ん中の写真は出来上がった焼印です。40mm角の150W電気ゴテ仕様で作りました。右の写真は同時に頼まれた真ん中の仏様部分だけを抜いて作ったものです。高さを30mmに小さくして製作しました。

イラストレーターのパスデータ入稿の焼印

デザインを頂戴して製作した焼印でも、データ自体をパスデータで貰う場合もあります。この場合、デザイン自体に手を加えることはありませんので、線の太さを確認して製作にかかります。一般的に会社のロゴ等の焼印製作の場合には、専門のデザイン会社さんが製作したデザインをイラストレーターのパスファイルでもらうのですが、近頃、お寺さんでもデザイン会社で作ったデザインで入稿していただくことが増えてきます。

左の写真は、安性山国相寺というお寺の焼印の安性山の部分です。安性山と国相寺の別々に使うことがあるので2本にわけて作りました。高さ30mmの100W電気ゴテ仕様の焼印で、1本の電気ゴテで差し替えて使う方式です。

お寺の焼印をデザインをお任せで作る場合

焼印に入れる文字と大きさだけが決まっていて、具体的なデザインが決まっていない状態でのご注文の場合もあります。その場合には、メタルアートで何種類かのデザイン案をご提示してその中よりお選びいただき製作にかかります。

雲門襌寺様の焼印

雲門襌寺焼印
雲門襌寺の焼印

上の写真は神龍山雲門襌寺様よりご注文頂きました焼印の試し押し画像で、必要な文字と作りたい焼印の大きさのみをお伝え頂きましたので、文字数が多く、画数も多い文字だったので、焼印をして押しやすく綺麗に出やすい丸ゴシック体の文字で製作しました。高さ80mmの大きな焼印で、300W電気ごて仕様で製作致しました。御開帳記念という事で、同じような文字だけの焼印製作がよくありますが、筆字の書体を希望する場合がよくあり、文字数と作る大きさから、書体をお薦め致しております。

光明寺様焼印
光明寺様の焼印

上の写真は、光明寺様の焼印画像です。作る大きさだけ30mmで縦書きと指定がありましたので、何種類かの書体をご提示して決めてもらいました。100W電気ゴテ仕様での製作になります。