安い数字の焼印

数字の焼印

0から9までの数字の組の焼印を製作しました。今回の焼印の大きさは、48pointの大きさにしました。数字の焼印は、市販する予定なので、原型を彫りゴム型を製作して量産できるようにしての製作です。

数字焼印のデータの作成

最初に、元になるデータを作るのですが、今回は、ゴム型を取るためにいつもとは違う、数字を並べて字間の調整を行い一度に10本全部を彫ります。只、数字の6と9が同じデザインで反転させてだけですので、6と9はまとめて1本とし、その代わり使いそうな「―」を1本加えることにしました。

数字焼印デザイン
数字用の焼印の初期デザイン

上の写真は、数字焼印の最初のデザイン画像です。5本づつ2行にして作ります。数字の間にある四角い枠は各数字の間を10ミリあけるために設定しました。実際の印面は、数字の大きさプラス上下左右で1ミリのオフセットをとった四角い台座を使いますが、その台座を作る時に、刃物は入るように隙間を設定し、ゴム型を作る場合の余白も含めて10ミリにしました。

下絵の削除とリフレクト

次に、最初のデザインから余分な線を消して、焼印をして押せるようにリフレクトという反転させる作業にかかります。

数字用の焼印データ2
次の処理をしたデータ

上の写真は、間を設定するために書いた四角い枠を削除して、印面として使えるように反転(リフレクト)させてデータの画像です。この後、データを切削機械(ローランドモデラ)で読み取れるようにDXFファイルに変換しますが、印面の表面が平らな普通の焼印の場合には、平面部分(印面)に高さをつけるだけなので、扱うデータが2.5Dデザインになり、DXFファイルは、平面の二次元のデータで十分なので、デザインを作ったイラストレーターのプラグインソフトを使いイラストレーターのAIファイルをそのままDXFファイルへと変換します。

焼印原型切削用ソフトの設定

DXFファイルを切削機モデラの切削ソフト(3D Engrave)から読み込みます。

切削ソフト読み込み
dxfファイルを読み込み

上の写真は、切削ソフトに読み込んだ時の画像です。ここで、数字の大きさが48ポイントになるように大きさを設定して、その他の設定もします。(モデラの設定は機械により変わりますので省きます。)

台座を設定
台座部分を設定

上の写真は、台座になる部分(赤い四角)を追加したものです。ここからは実際にモデリングワックスを彫る工程になります。彫るのは、機械や機種により変わりますので説明を省きます。ちなみに、赤い台座部分は11ミリの厚さで彫り、数字部分の印面は、7ミリで深く彫ります。

原型切削とゴム型+複製用蝋型

出来上がった切削データを利用してモデリングワックスを切削機械で彫り、その後、ゴム型を作り、蝋型の複製準備と鋳造準備をします。

モデリングワックス切削

数字焼印原型
彫りあがった数字焼印原型

彫りあがった数字焼印のワック原型です。台座部分の下に四角い部分がついているのは、この後、ゴム型を作る時に作りやすくするためと、そのゴム型から複製する蝋型を取りやすくする為です。使用しました切削用のワックスは、アメリカのkerr社のハードタイプのワックスです。

複製用ゴム型の写真
ゴム型と複製した蝋型の画像

上の写真の白い部分は複製用のシリコンゴムの蝋型です。その下に並べてあるの薄い黄緑の物が上のゴム型で複製した蝋型です。複製した蝋型はインジェクションワックスという融点が低い型に流し込みやすいワックスで作っていますが、実際に複製する場合には、ゴム型も電気炉に入れて150度位まで温度を上げてから、解けたインジェクションワックスを流し込んで、真空脱泡機で空気を抜いてから冷やして固めます。

蝋型のツリー
鋳造用のツリー

写真は、鋳造用の鋳型を作る為に複製した蝋型をいくつも組み合わせて専用のゴム台に立てた所の写真で、見た目が木が枝を伸ばしたように見える事からツリーと呼ばれています。その後、ステンレスの管をゴム型にセットして埋没材を流し込んで鋳型と作り、その鋳型を電気炉で焼いてから鋳造を行います。

数字焼印鋳造と仕上げ

出来上がった鋳型を利用して溶かした真鍮を流し込み鋳造を行います。

鋳造の終了

鋳型に溶かした真鍮を流し込んで鋳造を終えると、鋳型がまだ熱いうちに、水に漬けることにより急冷すると埋没材(石膏)が崩れて真鍮でできた部分が現れます。

数字焼印ツリー
鋳造後の数字焼印の鋳型

上の写真は鋳造後の真鍮製のツリーです。白く見える部分は、埋没材の残っている部分で、この後、数字の印面部分を切り取って、研磨してから100W電気ごて用の8ミリの軸棒をロウ付けして仕上げます。

数字焼印の組み立てと完成

焼印の数字の部分を軸棒とロウ付けして組み立てたら、試し押しをして確認して完成になります。

数字焼印
数字焼印を並べました。

出来上がった数字焼印を横一列に並べました。「6」と「9」は全く同じ形でひっくり返しただけのデザインですので、併用して‐(ハイフン)を1本付け足して10本1組にしました。焼印の印面の彫の深さは、柔らかい食品等でも押せるように7ミリと深くしてあります。

見やすいように個別で並べてみました。6と9は併用していますので向きを変えて2度出てきています。

電気ごて+数字焼印
100W電気ごてと数字焼印

上の写真は、100W電気ごてと数字焼印を並べて撮ったものです。本来であれば電気ごては、80Wでも大丈夫なのですが、焼印の印面部分を取り換えた時に、早く温めるように一つ上の100Wの電気ごてを使いました。

数字焼印を革へ
革に数字焼印を押しました。

上の写真は、茶色の革に数字焼印を押した時の画像です。下に見える数字は物差しをあてたもので、メモリ1つは1mmです。この焼印、大きさを48p(ポイント)で作りましたので、数字により多少大きさが変わりますのでメモリを入れました。革の写真には、X軸目盛(幅)をいれ、紙に試し押しの方には、Y軸目盛(高さ)をいれてあります。

数字焼印を紙へ
紙に数字焼印を押しました。

上の写真は、厚紙に試し押しした時の画像で高さの目盛をつけています。

最後に

ロストワックス鋳造はゴム型を取ることにより、少量生産品を安価に作る事ができますので、今回は、ロストワックス鋳造の長所を生かして数字の組焼印を作りなるべくお安い価格でご提供しようと思いました。同じ、手法で安価なアルファベット焼印も製作しようと思っています。