安い焼印へ挑戦1

メタルアートでもヤフーオークションやメルカリ等で安く売っている焼印もあります。これは、電気炉の空を利用して稼働率を上げる為に始めましたが、今回、本格的に取り組んでいきたいと思い問題点を洗い出して対策を立てようと思いました。焼印を作っている業者さんの殆どは、金属の塊を削る方法で作っています。最も削り方色々で、CNCマシーンにエンドミルや超硬カッターをつけて削る業者さんから、放電加工機を使い切削する業者さんが殆どだと思います。それぞれに長所と短所があり、メタルアートで行っている鋳造にも他にはない長所があります。その長所というのは、一度に多くの印面を作る事が可能という事ですが、その長所を活用するには、幾つかの問題を解決する必要もあります。
今までは、一点物の焼印を作る事をメインに考えてきましたので、ロストワックス鋳造のなかでも、単独法とよばれる一つの鋳型に一つの焼印印面という形で鋳造する事が多かったのですが、ツリー法とよばれる一つの鋳型に複数個の印面をセットして鋳造出来る方法に変えてみる事にしました。これには、ツリー法に向く専用の鋳造リングが必要になりますが、リングのサイズと価格的に使えそうなものが見つかりませんでしたので、専用の鋳造リングを自作する事にしました。この鋳造リングの自作につきましては別のページでご紹介いたしたいと思います。 別の問題として焼印の印面以外の部分についても、焼印を安く製造して販売するための工夫が必要になってきます。その一つに直火式焼印の柄の部分と棒の部分があります。市販の柄(木製)は、ヤスリの柄を使っていますが小さなサイズのものが量販されていないので、これも自作しました。柄に取り付ける棒の部分ですが、小さな安い焼印をつくる場合に適した棒材(普段は、スンギリというネジ棒を切って使っています。)もありませんでしたので、細くても強度のあるステンレスの4ミリ棒を使いました。

小さな安価焼印
小さな安価焼印の画像

上の写真は、部材も自作した小さな安価焼印の画像です。柄の部分は木製の丸棒、棒の部分は4ミリのスレンレスの棒を使っています。

安価な焼印用棒材の自作

実は技術的な問題と製作にかかる時間的な問題を解決しないとならないものに、焼印用の棒材の製作があります。棒材に選んだ4ミリのスレンレス棒は、強度があり曲がりにくく小さな焼印用には良いのですが、材質が硬い為に、ネジを切るのが大変で時間もかかり、難易度も高いものでした。安価な焼印を量販するには、この問題の解決も必要でした。今まではダイスという雄ネジを切る道具を使い手作業で1本ずつ作っていましたが製作方法を変えないとだめなので、手元にある道具類を活用して効率よく出来る方法を考えました。

一般的な焼印棒材の加工

今までは、スンギリというネジ棒を使っていましたので、雄ネジを切るのはダイスによる手作業でしたので、効率を良くするために加工用に使っている旋盤を利用する事にして旋盤で普通に雄ネジを切る為の方法を探しました。

ダイスホルダー
ダイスホルダー画像

上の写真は、普通に旋盤を使い雄ネジを切る為のダイスホルダーという工具の写真です。旋盤の芯押し台という部分に取り付けて使います。残念ながらメタルアートにはダイスホルダーがなく、今回、安価な焼印を作りたいとの思いがあったので、購入しての製作ではなく、今あるものを工夫して使ってできないか考えて別の方法を思いつきました。

焼印用のネジ棒の製作

ダイスホルダーを購入しなくても、今ある旋盤だけを使い工夫して簡単に能率よくステンレスのネジ棒を作る方法を思いつきました。難しい方法ではなく、逆転の発想で使い方を変えただけでできる事がわかりました。

ダイスを装着
旋盤にダイスを装着

上の写真は、その逆転の方法で雄ネジを切る為に、旋盤の三つ爪チャックに4ミリ用のダイスを取り付けた画像です。この時、チャック面に対して平行になるように注意してダイスを取り付ける必要があります。

芯押し台部分
旋盤芯押し台部分

次に旋盤に芯押し台部分にドリルアタッチメントを取り付けて、その先に焼印の棒材になる4ミリのステンレス棒を取り付けます。

焼印用ネジ棒加工
焼印用のネジ棒を作る

続いて芯押し台の固定ネジを緩めてダイスの所に棒材がつくまでずらして、ネジを固定しないでそのままにしておきます。

チャック部分
チャック部分の画像

続いて旋盤にチャックを締める為のハンドルを穴に入れて加工する準備をします。この後、旋盤は手で回しますので電源は切っておいて下さい。

芯押し台を押す
手で芯押し台を押す

4ミリのスレンレス棒を取り付けた芯押し台を、右手で押し付けたままで左手でチャックを手前の方向に回しますと、ダイスに棒材が食い込んで行きネジが切れます。この方法ですと直角を出す必要もなくダイスホルダーも必要なく焼印のネジ棒を作る事ができます。 邪道な方法ですが、手でネジを切るよりは早く、確実にネジ棒を作ることが出来ますので、この方法で行く事に来ました。
次には、焼印の印面を安く効率的に鋳造出来るように自作の鋳造リング製作をとりあげてみます。