細い筋の焼印

細い線で構成された四角形の並んだ白黒反転の焼印を製作しました。黒ベタの焼印は、うまく押すのが難しく、特に線が細い場合には、放射熱の影響を受けて変色して見えなくなる事もあります。白い線いドリルの入るだけの幅がある場合には、ドリルで焼印の台座を抜ける貫通穴を開けてしまえば、高温のガスを逃がして変色をある程度防ぐことが出来ますが、線の幅が細くてドリルで穴を開けられない場合は大変です。なるべく細い白い線を深く彫るようにしますが、焼印の印面も彫の深さを深く設定しても、刃物の彫れる範囲になってしまいどのくらい彫れるかしれています。今、ここで、仮に0.5ミリの白い線(凹)を彫った時の彫の深さを計算してみます。メタルアートで使っている文字カッターをいう文字を彫る為の専用カッターは、軸径6mm、刃先径0.15mm、刃先角度10度の超硬刃です。刃先を図で表すと以下の通りになります。

文字カッター
文字カッター刃先

上の図で今仮に0.5ミリの線を彫ると仮定すると理論上の彫れる深さは、三角関数のタンジェントを利用して求めることが出来ます。(計算を簡単に知る為に刃先幅0.15ミリを無視して尖っているものとして計算します。)
tan10≒0.763としますと求める彫の深さXは0.25/X=0.763でXは≒0.19ミリになりますが、実際には先が尖っていないのでもっと小さくなります。ようするに理論上は約0.2ミリしか彫る事ができなくなります。このように≒0.2ミリの深さで幅が0.5ミリ程の溝ですと周りからの熱で大変に変色しやすくなるのはわかると思います。結果から細い線を黒ベタに入れるのは無謀とも言えます。

 

細い筋焼印
細い筋焼印の画像

上の写真は、出来上がった白い線の枠の焼印を木の板に押した時の画像です。個の焼印の大きさは幅15ミリですので、白い線の太さは≒0.6ミリになります。写真の中央の下の方に茶色の筋が見えると思いますが、これは、焼印の熱い印面が木の表面に触れた時に発生した高温のガスが下の方に逃げた時に出来た変色です。ちなみにこの焼印は40Wの半田ごてを取り付けて40W電気ごて仕様として作りました。